脳波測定を用いたe-Learningによる技術指導における心理状態の評価

摘要

現在，情報通信技術の発達により教育現場においてe-Learningの導入が進hでいる。この背景には文部科学省が学校教育に情報通信技術を取り入れつつあることが举げられる。さらに，指導者一人に対し複数の学習者をとることができる，時間や場所を選ばずに学習できるなどの利点から語学などの知識教育や，スポーツ，機械操作といった技術教育にe-Leamingが活用されている。その中でも知識教育においては多くの研究が行われ，質の高い教育サービスが提供されている。この要因としては，知識教育では教示方法が体系化されており，テストなどの点数評価によって指導者側が学習者側の修学状態を客観的に把握することが可能であることが考えられる。これにより，教示媒体を電子化することが容易になり，指導者と学習者が同じ時間や場所を共有せずとも知識学習を遠隔で行うことができる。しかし，技能教育においては知識教育と比べ研究例が少ない。また，技能教育には勘や経験といった暗黙知が多く，指導者ごとに教示方法が異なり，体系化が困難である。ここで，指導者と学習者が対面している場面であれば。会話や学習者の表情，動作を細かく確認することで，学習者が指導を理解できているのか，指導方法に満足できているのかを指導者が把握することができる。この学習者の反応から，その都度適切な指導や評価を行うことができ，技能教育サービスの質を維持できる。しかし，e-Learningを用いた遠隔指導では必ずしも学習者の動作や表情などをすベて取得できるとは限らず，学習者から得られる情報は対面での指導に対して限定されてしまう。そのため，暗黙知を含む指導に対し，学習者の理解度や不満感が正しく指導者に反映されず，技能教育効率の低下に繋がる。よってe-Learningを用いた教育サービスでは，遠隔による技術教育の質を高めることが課題である。