秩序無き集落再生という意味での「リバーススプロール」の実態とその対応:豪雨による浸水被害からみた開発許可条例の課題を通じて

摘要

平成12年の都市計画改正により同法第34条11号及び12号の条例（以下それぞれ3411条例、3412条例、両者の総称を開発許可条例）が制度化して10年以上が経過し、その間に3411条例をはじめとして数多くの自治体が市街化調整区域の規制緩和に取り組hできた。これにより、一部自治体では市街化調整区域での宅地供給が進hだことで、市街化区域内で空地空家が散発的に発生するといった無秩序な市街地縮退の一要因ともなっている。一方で、本制度が適用される市街化調整区域では、既存集落の土地利用を充填する形で集落の活性化が図れているかというとそうではなく、むしろ新規開発地を集落縁辺の農地や、最近では災害の常習性のある土地にまで求めている事例もあり、秩序無き集落再生という意味でのリバーススプロールも拡大している。特に、後者の土地にまで開発地を求めるという事態は、「溢水、湛水、津波、高潮等による災害の発生のおそれのある土地の区域」（以下、令八条ロの区域）での開発許可条例の適用が法令で認められていない中で発生し得る問題である。