偏心を有するRC造骨組の耐力割増し方法が耐震性能及びねじれ挙動に及ぼす影響(その 1) 耐力割増し手法が静的ねじれ挙動に及ぼす影響

摘要

鉄筋コンクリート（以下， RC）造建物の設計において，新耐震設計法では弾性剛性に基づく偏心率を0.15以下に規定し，ねじれによる損傷の発生を抑制している。また，偏心率が0.15を超える場合には，偏心率に応じた割増係数Feを考慮して必要保有水平耐力を割増した上で，保有水平耐力の検討を行うことが義務づけられている。しかし，このような新耐震設計法の手法に対する根拠は明確ではない。最大で1.5倍まで耐力を割増すFe値の妥当性や層全体の耐力を割増す手法の有効性が建物のねじれ応答に基づいて検証された事例は少なく，この手法によって建物のねじれ応答が抑制されるメカニズムが十分に解明されているとは言い難い。このような問題に対し，大村ら2)は，各層の構面毎に耐力を割増す方法を提案しており，ねじれに伴う付加変位が増大する構面の耐力を割増すことが有効であることを示している。