物語映像における行為の分析: 『東京物語』を素材として

摘要

物語生成システムの中で，ストーリーや言説は概念表現として記述されるが，これをできるだけ自動的に映像表現化する研究を進めて来た[1][5].そこで問題となるのは，概念表現における抽象的な行為を表層的な映像表現における具体的な行為（動作やその系列）に変換する必要があるということであった.そのために，最終的には行為を巡る体系的記述，行為オントロジーが必要となる.これらを巡る考察は[3]や[4]で行って来た.本研究では，この問題を具体的なシステムを構築することで考察して行くことを目指し，小津安二郎の映画『東京物語』を素材として，その行為を詳細に分析し，概念表現化し，それを開発した映像構成システムを通じてTVMLスクリプトに自動変換する.そして，その際の問題点や困難点，その解決方法などについて考察する.