小型ロケット用航法センサの開発状況

摘要

近年，宇宙開発への民間事業者の参入は目覚ましく，特に，小型ロケット事業については，今後急激に需要が高まると予想される小型衛星市場に向けて，開発が本格化しており，国内でも複数メーカが2022年以降の運用開始を目指し，開発を進めている．これまでに三菱プレシジョンは，JAXA（宇宙航空研究開発機構）殿と共同で，ロケット搭載型の航法センサRINA（Radio and Inertial NAvigation sensor）を開発した．これにより、H-IIA/B ロケット及びイプシロンロケットにおける飛行安全システムでの位置・速度の計測をRINA のみで行うことで地上レーダ局が不要となり，飛行安全システムの低コスト化を実現した．RINA の最大の特徴は衛星測位と，低価格だが低精度なIMU（Inertial Measurement Unit）を用いたINS（Inertial Navigation System）による複合航法システムを採用した点にある．低精度IMU，衛星測位の各センサの課題を，互いの短所を互いの長所で補う“複合航法アルゴリズム”によって，低コスト化と高精度な位置・速度計測の双方を実現した．