聞こえにくさと不注意:聴覚情報処理障害への対応から

摘要

聴力は正常であるにもかかわらず、雑音下での会話のように、聴取に負荷のかかる状況では聞き取りにくさを感じる場合がある。自覚的・他覚的な聴覚検査を行っても問題がみられない場合、聴覚情報処理障害である可能性がある(Auditory processing disorder(APD),category H93.25 in ICD-10)。この症状の背景には、発達障害、精神疾患や心理的問題、複数言語下でのダブルリミテッド、認知的な特性のバランスの問題など多様な要因が存在し、さらには本人の性格特性や聴取環境が加わり症状として出現すると考えられる。最近では、その概念についての議論も行われるようになるなど、その評価や支援を含めて十分な検討が必要である。