ウィスパリングギャラリーモード共振器を用いたテラヘルツ時間領域全反射減衰分光

摘要

テラヘルツ波(THz 波)領域での時間領域全反射減衰分光法(TD-ATR 法)は吸収が大きい試料や光学的に分厚い試料に対して有効な分光法であるが，プリズムを使った一般的な手法では測定箇所が全反射領域に限られている為，相互作用長が短く微量物質などの微弱な変化の測定は困難である．これに対し，共振器を用いた分光は共振器を入射波が何周回もするため試料との相互作用長が増大し，高感度な分光ができる．そこで我々は誘電体内部を全反射で周回するウィスパリングギャラリーモード(WGM)共振器に注目した．WGM 共振器では，10~8 台の高いQ 値が報告されている上，周回軌道上すべてが測定領域となり得るため，飛躍的な分光感度の向上が期待できる．この様なことから本研究では，ポリプロピレン(PP)製のWGM 共振器を導入したTD-ATR システムを作製したので報告する．