規定空間が形成する街並みについての研究: 地区計画による容積率緩和に着目して

摘要

市街地等における街並み景観の誘導に際して、調和や一体感が重要であるとしているが、個々の建物は敷地ごとに建築されるため乱雑な街並みが形成されている可能性がある。それらの建物は建築基準法や地区計画による形態規制を受けるが、これも敷地単位で規定され運用されている。地区計画では快適でゆとりある歩行空間の形成のために壁面の位置の制限が定められる代わりに集団規定の道路斜線制限の撤廃や基準容積率の加算や容積率上限の緩和が規定されている。都市計画マスタープランや地域別構想では都市の将来像や街並み景観などが計画されているが、具体的な空間像は示されていないため、現状の街並みが形成される仕組みの実態を明らかにし、これからの建築群による集団的な造形である街並みに対する形態規制の視点が必要である。