現存する同時代類似建築V＆A 子ども博物館の調査によるクリスタル・パレスの相対化

摘要

本稿では、同時代類似建築の部材形状や接合部に着目し、神話化されたクリスタル・パレスの相対化を試みる。ヴィクトリア・アンド・アルバート子ども博物館（V&AMuseum of Childhood）は、ロンドン東部のベスナル・グリーンに位置している。1851 年の万国博覧会後にクリスタル・パレスの中に収められていた展示物を収めるためにつくられたサウス・ケンジントン・ミュージアム（South Kensington Museum）が、その「醜さ」から解体移築され、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館の別館として再生され今に至る。その無味乾燥な外観から「ボイラー」と渾名されたサウス・ケンジントン・ミュージアムが、150 年以上たった今もなお姿を変えて残っていることになる。なお、移築後の跡地には、その後アルバート・ポリスと呼ばれる複合文化施設群が整備された。