供給実態と地域特性について地方中核都市（宇都宮市・静岡市・新潟市）における民間分譲集合住宅に関する研究（その１）

摘要

東京などの大都市圏では、民間分譲集合住宅（以下、集合住宅）は居住形態の一つとして定着しつつある。国交省は「優良建築物等整備事業制度」を定め市街地住宅や土地利用の共同化に補助金をつけ、高度な土地利用を推進している。この補助金を利用した事業として、近年では地方都市でも大規模な集合住宅の計画が見られるようになり、今後さらに普及していくと考えられる。集合住宅の建設は、人口構成の変化や景観など、その地域に大きな影響を与える可能性がある一方で、事業性や構造的な制限、先行している首都圏事例の踏襲など、画一的な計画になりやすい。戸建て住宅において、気候や文化に根ざした伝統的な住宅形式の継承などにより、地域特性が反映された空間構成や居住意識が形成されているように、その地域に適した集合住宅のあり方があるのではないだろうか。