サービス付き高齢者向け住宅の居室設備に関する研究: 入居者の生活行動からみる居室設備の必要性と課題

摘要

居住者へのヒアリング調査から、食事サービスの有無が自室キッチンの利用頻度に影響を及ぼすことが明らかとなった。食事サービスが提供されるサ高住の自室台所・共用台所は共に利用者が少なく、食事サービスが提供されないサ高住では自室台所の利用頻度が高い。「高齢者住まい法」によるサ高住の登録基準には住宅に関する要件として「原則、台所、水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室の設置」とあり、また「共同部分に共同して利用するための適切な台所、収納設備または浴室を備えることにより、各戸に備える場合と同等以上の居住環境が確保される場合は、各戸に台所、収納設備または浴室を備えずとも可」とある。サ高住の95%以上が食堂での食事提供サービスを行っている現状を踏まえると、多くのサ高住で台所は不要であろう。