居住から考える「災害」と「計画」に関する研究（リアス海岸部の津波避難計画と安全・安心に関する考察）

摘要

効果的な津波避難は、より早い津波の実測情報の発信と地域の地理・地形を活かした避難方法の徹底にある。参考文献3),4)による地震津波海域観測網が整備されれば現状より20 分程度早く実測の情報が得られることになる。これらの観測網の整備により、今回の最初の実測情報が日本海溝の反対側のアメリカから発信されるような状況が改善される。津波の発生と居住地域への到達時間に関する実測情報の精度を上げるための施策が重要である。今回の津波において、リアス海岸部の大川小学校では地の利が活かされなかったが、平滑海岸部の中浜小学校では地形を考慮して建物に留まる判断が功を奏した。前稿で示した過剰ともいえる避難施設等の整備に関する課題は、物理的に安全と評価できる整備計画と住民が安心できる避難計画の接点を探ることである。今後の対象とする図３（右図）で示した福島県以南の浸水範囲の特徴は、リアスと平滑の中間的な形態といえる。特に原発事故の影響下にある地域での避難の実態は、超長期間及び超広域避難のケースとして検討すべきである。今回の３タイプは、東海・東南海はじめ各地における津波避難計画策定のための分類手法として有用である。