翼端形状が機体性能に及ぼす影響に関する研究: 上向きウィングレットと下向きウィングレットの比較

摘要

航空機の運航は多くの燃料を消費し，燃費の向上は運用コストや環境適合性の観点から重要である．燃費向上のためには，航空機の巡航時に発生する抵抗のうち，およそ40%を占める[1]といわれている誘導抵抗を減少させることが有効である．この誘導抵抗は揚力の発生に伴い発生する抵抗であるため，完全に無くすことはできないが，主翼アスペクト比を大きくするなど主翼形状を工夫することによって減少させることができる．しかし，アスペクト比を大きく取りすぎると飛行中に主翼翼根部に働く力が大きくなり，構造重量の増加に繋がるため，これには限界がある．また，既存の航空機を大幅に上回るスパン長の主翼を有する機体は，既存の空港，整備関連施設を使用できないという点でも問題がある．