マイクロ流体電気化学発光ディスプレイに向けたアントラセン誘導体ホストの検討

摘要

現在，有機ELを搭載したスマートフォンやディスプレイの実用化が進hでいる．有機 ELは固体の有機多層膜(電荷注入・輸送層，発光層)を 2 枚の電極で挟み構成される自発光デバイスである．発光波長の制御および発光効率の向上のために，エネルギーギャップの広いホスト材料に微少量のゲスト分子を添加したホスト―ゲスト系発光層が用いられている．一方で，近年，液体発光材料を用いた自発光デバイスである，電気化学発光(ECL)素子が次世代ディスプレイ・照明として注目されている(1)．発光層に流動性のある液体材料を用いることで，固体薄膜では実現が困難であるような発光デバイスの実現が期待されている． ECL溶液は一般的に1種類の発光性分子を有機溶媒で溶解することで調製され，また，ECL素子は発光層を2枚の透明電極付きガラス基板で挟みこむだけで形成される．近年，波長可変デバイスの実現に向け，複数の発光性分子用いた ECL 素子が報告されている．特に，可視光領域を幅広くカバーする白色発光の実現は重要な課題であった．