2018 年秋季の埼玉県、東京都における草本類花粉飛散挙動

摘要

花粉症は植物花粉が原因となり, くしゃみ, 鼻水, 鼻づまりなどを引き起こすアレルギー疾患である. 加えて, 目のかゆみや充血などが起き, 結果として集中力が低下するなど人々に甚大な健康影響を及ぼす. こうした花粉症は世界中で問題となっており, 本国でも国民病となっている. 平成20 年の全国を対象とした花粉症患者調査によると29.8%が花粉症であり, その半分近くがスギ以外の花粉症も発症している. また, 平成28年の都内のスギ花粉症患者調査では有病率が48.8%とおよそ二人に一人がスギ花粉症を発症しており, スギ以外の花粉症患者も増加していることが懸念される. 花粉症の原因となる植物は春に花粉が飛散するスギが有名だが, 秋にもアレルギー症状を呈することがある. これは, ブタクサ, ヨモギなどの花粉・アレルゲンによるものである. これらの植物はスギやヒノキのような標高の高い山地に生息し, 花粉が遠方まで飛散することはないが, 川原や道路端, 庭先などの身近に生息している. 特に, ブタクサは繁殖力が強く, アレルギー誘発性の高いアレルゲンを含hだ花粉を放出するため, 吸い込むことで喘息や呼吸器疾患などのリスクがあると考えられる. しかし, 秋季草本類花粉情報は少なく, かつ現在の治療法では全ての花粉症を完治することは難しく, 秋季草本類花粉挙動を把握することが花粉症対策に必要不可欠である.