聴覚フィルタバンクを用いたラウドネスモデルとシャープネスモデルの構築

摘要

音質評価指標を求めるためには,時間領域で定義されたラウドネスモデルが必要である.しかし,Moore & Glasberg のラウドネスモデル(IS0532-2)は周波数領域で定義されるモデルであるため,音質評価指標の算出に 利用できない.本稿では,時間領域で定義されたラウドネスモデルおよび音質評価指標の一つであるシャープネスモ デルを提案することを目的とする.時間領域で定義された聴覚フィルタバンクとしてガンマトーンフィルタバンク とガンマチヤープフィルタバンクを用いてラウドネスモデル及び,そのモデルを用いたシヤーブネスモデルを提案 した.提案モデルがIS0532-2で規定されたラウドネスを算出可能か,また提案モデルがシャープネスに関する知覚 データを説明可能か検討した.その結果,提案モデルはISO 532-2の結果に一致するラウドネスを算出できるだけで なく,シャープネスに関する知覚データも説明できることがわかった.また,シャープネスの結果に関してはFastl& Zwickerのモデルよりも良好であることもわかった.