日本統治時代における台北帝国大学の大学官舎地の形成と建築形式に関する研究

摘要

本研究は、日本統治時代に台湾で建設された台北帝国 大学の「大学官舎」の建設経緯、住宅地の形成、建築形 式や平面的な特徴などの実態を、史料?資料収集調査、 インタビュー調査と現地調査を通して明らかにした。昭和3年、台北帝国大学は旧昭和町の大学官舎地に官舎建 築標準に準拠した官舎を建設し、教員らとその家族の住 居として供給していた。旧昭和町の大学官舎地は、当時、 知識層が多く、研究や教育に熱心な日本人の教員らが集 まる住宅地であった。供給された官舎は、教員の職階に よって割り当てられる「高等官官舎第三種」、「高等官官 舎第四種」、「判任官官舎丙種」三種類の規模があり、さ らに、教員が利用できる娯楽施設および交流の場を持つ 「単身官舎」もあった。高等官官舍は瓦葺きの平人平屋 建ての木造住宅で、外壁は下見板張りであった。判任官 官舍と単身官舎は瓦葺きの平入平屋建てのレンガ造で、 レンガの上にモルタル塗りの外壁であった。また、「臺灣 總督府官舎建築標準」が制定されたが、敷地条件によつ て、敷地面積ゃ延床面積がその規定に準じていない住宅 も見られた。