引張荷重下の強度耐久性に及ぼす老化の影響 : エネルギー論的考察

摘要

日本には数多くの木造伝統建築物が現存し，これらは 文化面?資源利用の観点などから非常に貴重な優良スト ックを形成している.一方で，日常的に利用され続ける 建築物としてはその構造的安全性が確保されることは 必須であり，長期的な修繕計画は重要な意義をもつ.と ころで，部材である木材は，紫外線や大気中の酸素など 様々な要因で高分子が分解されることから，材質が変化 (老化）すると考えられる.そのため，長期間使用され た木材（以下，古材）の力学性能に及ぼす老化の影響を 適切に評価する必要があり，これまで小原，平嶋をはじ めとする研究がある~(たとえば).しかし，いずれも古材の 現有静的強度を測定する手法であり，繰返し負荷に対す る性能や耐久性の検討には及hでいない.本研究では， 古材を対象とした動的引張試験を行い，木材の疲労性能 に及ぼす古材化の影響を調べた.本報では，特にエネル ギー論的にその耐久性を考察する.