イシガイ科二枚貝の餌供給を目的とした野外水槽による藻類培養

摘要

国指定天然記念物のイタセンパラやミヤコタナゴに代表されるタナゴ類は、産卵場所としてィシガイ科二枚貝(以下、二枚貝という）を利用する生活史を持つ淡水魚として知られている。タナゴ類が繁殖するためには二枚貝の存在が必須である。しかしながら、国内では15種が報告されているィシガイ科は、「環境省レッドリスト2018」には11種が取り上げられており、早急な保護対策が必要な野生生物である。発表者らは二枚貝の人工繁殖技術の確立を目的として、特に餌資源に着目し、生息場所における利用餌を調査してきた。その結果、二枚貝は緑藻類や珪藻類を主要な餌として利用していることが 分かった。この結果を踏まえ、野外実験水槽を用いたニ枚貝に対する培養藻類及び市販緑藻（クロレラパウダー）による給餌効果の検証を行ったが、生息河川と同等の成長速度は達成できていない。二枚貝の成長に必要な藻類量、特に珪藻類の確保が技術的課題として残されている。本発表では、二枚貝の利用餌の安定供給を目的として、野外大型水槽を用いた藻類培養実験における藻類組成及び細胞密度の推移を報告する。