回転二重円筒内における非ニュートン流体の流動場の可視化

摘要

回転二重円筒内ではテイラー渦を伴う円周方向の流れが生ずる.これを Taylor Couette 流れと呼ぶ.Taylor-Couette 流れは,食品,化学,医療加工など様々な産業に応用されており,ろ過 1,タンパク質のせh断 2,血液の解毒化3,液液抽出 4,バイオリアクタ 5,乳化重合 6,結晶化 7,動物細胞の培養 5,光触媒反応 8など,多くの産業に応用されている. これら多くの産業的な実プロセスでは,非ニュートン流体を扱うものが多く,その中でも特に Shear-thinning性を示す流体が多い.Ashrafi9 は,複雑流体の研究という観点から,非ニュートン性が流れの不安定性におけるレオロジの重要な役割を果たしていることを指摘している.複雑流体に関する多くの先行研究があるが,Taylor-Couette流を用いた多くの種類の装置の再設計やスケールアップは経験則的になされているのが現状である.また複数流体のTaylor-Couette流れの物理的な機構の理解は発展途上であり，Shear-thinning 流体に関する実験データが不足していると指摘する研究者 9-12もいる．このような背景から，本研究の目的は非ニュートン流体における流動モードの遷移メカニズムを解明とした.まず実験的手法を用いて，Shear-thinning 流体による Taylor-vortex flow とWavy-vortex flow を対象に流動場の可視化を行った.Taylor-Couette 流れは流動構造が複雑でありレイノルズ数に応じて多くの流動モードに遷移する.一般的に研究されているTaylor-Couette流れは内円筒を回転させ外円筒を固定させた場合,レイノルズ数は式(1)で定義されここでpは流体の密度,μ_eは有効粘度,Ωは内円筒の回転角速度,dは内外円筒間の距離,r_iは内円筒の半径である.