付着・脱離時におけるコンタミネーションの分光特性変化

摘要

宇宙機に用いられる有機材料からは，光学材料の汚染原因となる分子状コンタミネーション（以下，コンタミ）が放出される．特にコンタミが光学部品や放熱面などに付着するとその光学性能を劣化させる1-3)．光学特性に及ぼすコンタミの影響は70-80 年代から研究されている4-10)が、現在の高度化された宇宙機設計にとってコンタミとその光学影響予測は，非常に重要である．JAXA では，コンタミが光学材料に及ぼす影響を定量的に把握するため，コンタミネーション光学分析チャンバー11)の整備とデータの取得を進めている．本装置は，サンプルを大気に曝すことなくスペクトル測定が可能である．ここでは，宇宙機に一般的に用いられているエポキシ系接着剤ならびにアクリル系接着剤から放出されるコンタミが光学材料の透過率に及ぼす影響をその場測定にて調べることを目的とした．また，光学材料の違いによる付着・脱離過程の違いについても調査した．ここでは，その場測定から得られたコンタミの付着・脱離過程における透過率のスペクトル変化について報告する．