連続して月にスイングバイする双曲線軌道を用いた地球脱出エネルギーの増加

摘要

近年の宇宙開発では，小型衛星利用の需要拡大とともに，官需依存から脱却して民需へ移行する動きが加速しており，現に世界各国のベンチャー企業が積極的に小型衛星ビジネスに参入している．このような宇宙時代の新潮流に乗り，小型衛星による深宇宙探査の敷居を下げるべく，日本国内においても，小型標準バスやイプシロンロケットを用いた高頻度・低コスト・タイムリーな深宇宙探査を促進する動向がある．これらを背景に，深宇宙探査ミッション（目標天体）への要求が厳しくなることに付随して，探査機が地球の影響圏を脱出する際の境界条件（脱出速度・脱出方向・脱出時期）に幅広い自由度を持たせた軌道設計の重要性も高まることが予想される．