協調性の発展に対する学習プロセスの影響について

摘要

本論文では，協調性の発展に関して模倣的な学習方式と構成主義的な学習方式を比較した。結果として，模倣的な学習では，ある特定の規範が大きな影響力を持ち集団が一様になる傾向があるのに対して，構成主義的な学習では多様な規範が共存しつつも，協調性が発展させられることが分かった。模倣的学習から構成主義的学習への移行でもたらされる大きな違いは，規範10 の優位性がなくなることである。進化ゲーム論の文脈では，従来は規範10 と規範14 が重要であると認識されてきたが，最近の解析的研究により規範10の優位性が示された。その理由は簡単に言えば，規範10 のほうが規範14 よりも厳格だからである。寛容な規範と厳格な規範が共存しているときには，搾取者の侵入に対して，厳格な規範のほうが頑健である。これらの結果はすべて，学習方式として模倣的学習を仮定することで得られている。