安全を目的としたあるべきITS情報通信について: センサと通信システムの融合とT秒Rm評価法による過剰要求性能の回避

摘要

本稿では，安全性と社会的実現性の両面を考慮したあるべきITS情報通信を明らかにするために，センサ型，通信型，およびセンサと通信の融合型の三種の安全運転支援システムの必要情報取得率について，T秒以内でRmの範囲内に接近する衝突可能性が高い車両に限定した評価を行う「T秒Rm評価法」を用いて，過剰要求性能の回避の観点から種々の検討を行っている.特にこれまで著者らが行ってきた，一般道におけるマイクロスコピックな交通流シミュレータを用いた，「T秒Rm評価法」によるセンサ型，通信型，およびセンサと通信の融合型システムの検討をさらに進めて，本稿では，車両の普及率と混雑度を考慮して，これら三種のシステムの必要情報取得の検討を行っている.その結果，従来の評価のように一律に評価領域内の全ての車両を評価対象とした場合には，通信半径やセンシング範囲について過剰な性能を要求してしまう可能性があることを明らかにしている.また，センサと通信の融合型システムがセンサ型と通信型のそれぞれのシステムの欠点を効果的に補完し合うことで有利となることを明らかにしている.