人口減少を背景とした斜面市街地における将来の土地利用のあり方に関する研究その1 将来シナリオに対する災害危険性・環境保全性の検討

摘要

戦後、人口増加時代に多くの都市においてスプロール化が進み、斜面地にも多くの市街地が形成された。このような斜面市街地の多くは、インフラ整備が不十分なまま急速に形成されたため、現在でも老朽木造家屋や細街路、階段道路などが密集しており、生活利便性において多くの課題を抱えている。また、地形に起因する崖崩れや水害などの災害リスクも大きい。しかし一方で、緑や「風の道」など自然資源が豊富であり、また眺望が良いといった特徴をもつ。現在、このような斜面市街地の多くでは、人口減少・高齢化が顕著となっており、今後もその傾向は続くものと考えられる。そのためある程度の縮退を許容しつつ、斜面市街地の将来のあり方を示すことは喫緊の課題である。