地形により形成される農山村集落の小気候と景観に関する研究:岐阜県飛騨市種蔵集落における事例

摘要

山間地では、日射･日照等の微気候条件が住居配置と関係し集落景観に影響を及ぼしている事例１）２）がみられる。農山村集落景観の保全・再生を図る上で、このような地域的な自然環境要素と集落景観形成の関係を明らかにすることは重要な課題であると考えられる。岐阜県飛騨市種蔵集落には河岸段丘と断層による複雑な地形が形成され、棚田と板倉による景観美が有名であり、それらを活かした集落再生計画が展開されている。延焼防止のため住居から離して建てられた板倉が独特の景観を形成しているが、複雑な地形により形成される地域内の環境条件が板倉の立地選択に影響を及ぼしている可能性が考えられる。本研究では、集落景観を地域の気候特性を活かした熱環境デザインとして捉え、前報３）の結果を補足するための小気候観測調査を実施し、集落景観の考察を試みる。