連続的データ同化法を用いた屋外空間における汚染物質放出源の推定

摘要

化学薬品工場での漏洩事故や生物·化学兵器による攻擊をはじめとして、危険な汚染物質が大気中に放出されるような事例が考えられる。こうした汚染物質による脅威から、人々の安全や周辺環境を守るためにも、大気汚染物質の濃度分布を把握することが重要であり、そのために放出源に関する正確な情報が不可欠となる。大気汚染濃度の推定には、これまで観測や数値計算が用いられてきた。しかし、観測では、対象全域からデータを得ることはできず、データに欠損が生じてしまう。一方、数値計算では、対象全域を推定することが可能であるが、適切な初期条件や境界条件を与えることが難しく、モデル化に際しての誤差や計算上の丸め誤差といった様々な要因から推定精度が下がりやすい。