複層式ジォデシック·テンポラリードームの構造特性に関する基礎的研究(その1)構造システムの提案と自重時の挙動について

摘要

近年、災害時の避難施設や、イベント施設などで容易にセルフビルドが可能な仮設建築物の要望が増加している。仮設建築物は、力学的合理性、軽量性、収納性、施工性、快適性などの性能が重視される。本論では、B.フラーの提案したジォデシックドームを元に考案された複層式ジォデシックドーム（以下「A-Dome」と称す）を対象として構造特性の検討を行う。なお本ドームは仮設に適用することから、支点部のレベル差や専門職でない一般人による人力施工等に伴う過大な応力の発生の回避、また施工性の向上等を考慮して、通常のトラスやスペースフレームと比較すると、ジョイント部に大きなクリアランスを積極的に設けている。一方、このクリアランスの存在が完成時の形状における初期不整の増大や、付加荷重時の構造性能の低下に結びつく可能性も考えられる。