特別支援学校と京都市の総合支援学校総合支援学校の建築計画に関する研究（１）

摘要

障碍のある児童生徒のための学校は従来，特殊教育諸学校：盲，聾，養護（肢体不自由・知的障碍・病弱）学校：として視覚障碍・聴覚障碍・知的障碍・肢体不自由・病弱などの障碍種別に編成されてきた．しかし近年，障碍のある児童生徒数の増加（図１）や，通常学級内における支援の必要な児童生徒の顕在化，養護学校における児童生徒の障碍の重度・重複化の進行などにより，従来の特殊教育の理念では実情に対応しきれなくなってきた．こうした状況に対応して2006 年に学校教育法が一部改正され，障碍種によらない特別支援教育が開始されている．これに伴い，特殊教育諸学校は特別支援学校として統合されたが（図２），障碍種によらず児童生徒を受け入れる総合制の特別支援学校としての［総合支援学校］の理念も登場している．総合支援学校は全国に拡大しつつあり，今後の日本における特別支援学校の一つモデルになると考えられる．しかし現在まで単一障碍の学校に関する計画研究は多数蓄積されているものの，総合制の学校に関する調査研究は殆ど存在せず，今後の社会的ニーズの観点からも総合支援学校に関する計画的知見を整理することは急務であると考える．そこで本研究では総合支援学校の実態を，1) 学校運営，2) 児童生徒の学習・生活活動の実態，3) 学習空間の利用・構成状況，4) 空間の構造化の状況，等の観点から把握し，それらを多角的に分析することで，総合支援学校の建築計画に資する基礎的知見を得ることを目的とする．