インド洋海域世界における港市の形成と変容に関する研究: その２ スール・ラワティヤ地区（オマーン，マスカット）の空間構成

摘要

本稿では，以上のように，スール・ラワティヤ地区の空間構成の現状を施設分布，住居のオリエンテーションおよびスタイルなどから明らかにした。１９世紀に，アラブ人やインド人によって，旧市街が形成されたオマーン王国の首都であるザンジバル島があるアフリカ東岸と，インド西岸との中間にあるアラビア半島において，ヒンドゥー商人がスール・ラワティヤのような閉鎖的な街区へと居住し，木造のベランダや出窓などのスタイルを保持する住居を残していたことは興味深い。今後は，ザンジバル島旧市街，ラム旧市街（ケニア）の住居スタイルとも比較したい。