建築設計のセカンドオーダー・サイバネティクスコントロールを諦める設計

摘要

気候変動が顕在化しつつある今日、建築設計にとっても環境の持続可能性が重要なテーマとなっている。しかしF. Guattari が言うように、環境のエコロジーの問題は社会のエコロジーや精神のエコロジーの問題（たとえば資本主義社会とそこでの主観性の生産）と密接に結びついているのだから、それらを分断して取り出される要素問題にかかわる技術革新では不十分なのである（ガタリ1997）。そこで三つのエコロジーの相互関係のなかでの設計行為を捉えるために、本論はセカンドオーダー・サイバネティクス（second-order cybernetics、以下SOC）の理論を導入する。その上で主張するのは、対象をコントロールすることを諦める建築設計のあり方である。