極低濃度域カルキ臭原因物質のイオン交換法による制御

摘要

高度浄水処理プロセスをもってしてもカルキ臭に対する不满を持つ需要者が多い.消毒に用いる塩素がアンモニゥムイオン等と反応することで生成するトリクロラミンがカルキ臭の主な原因物質の一つであると考えられており，イオン交換法は前駆体であるアンモニゥムイオン除去に有効であると期待される.本研究では，アンモニゥムイオンとトリクロラミンの分析にそれぞれボストカラム-イオンクロマトグラフ(IC)誘導体化法とへッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析法(HS-GC/MS法)を適用し，イオン交換によるトリクロラミンの制御可能性の評価を行った.その結果，イオン交換法は，アンモニゥムイオン濃度が100 μg-N/L付近ではトリクロラミン制御に有効であるが，極低濃度域ではアンモニゥムイオン以外のトリクロラミン前駆体の存在が無視できないことを明らかこした.