培養できない腸管系ウィルスの不活化評価を目的とした外殻タンパク質酸化傷害検出手法の開発

摘要

世界中で急速に被害を拡大させているノロウィルスは.組織細胞を用いた培養法が確立されていないため，ウィルス粒子の感染能力に基づいたリスク管理を行うことが著しく困難であった.本研究では，酸化ストレスによりタンパク質分子上にカルボニル基が発生する現象に着目し，ウィルス外殻タンパク質における酸化損傷指標としてのカルボニル基蓄積量を定量することを試みた.その結果，遊離塩素処理によつてァストロウィルス及びノロウィルス粒子表面上にカルボニル基が蓄積すること，さらにはァストロウイルス粒子上のカルボニル基蓄積量が増加すると共にウィルス粒子の感染価が低下することが示された.本研究の結果から，酸化傷害部位の検出による培養できない腸管系ウィルスの不活化評価という全く新しいアプローチを提案することが可能となった.