ウィリアム·モリスの制作論におけるleasure>の概念について

摘要

19世紀後半から20世紀初頭にかけて英国で展開されたアーツ-アンド·クラフッ運動は，ジョン·ラスキン(John Ruskin 1819-1900)らの思想に基づき，実践者ゥイリアム·モリス（William Morris ,1834-1896)が先導した運動として今日でもその意義が評価されている。モリスは工芸の実践だけではなく，執筆や講演によってもアーツ·アンド·クラフッ運動を鼓舞した。前稿では，「いかに住まうべきカリというモリスの問いには，「工芸」および「自然」への眼差しが据えられていることを確認した。人間の生活を受容する住宅への志向がアーツ·ァンド·クラフッ運動の思想的基盤にあると言える。小論は，モリスの制作論における鍵語〈pleasure〉の分析を通して，かれが生活や住宅を問うことの意味について，一考察するものである。