1950年代半ばの小住宅における水回り設備の集中と洗濯場の関連性に関する考察

摘要

1950年代半ばは、モダニズム建築家による「最小限住宅」への取り組みが顕著であった。空間の合理化を図るため、水回り設備を一箇所にまとめる「設備コア」がブームとなる。その火付け役となったのは池辺陽であり、当時欧米で流行していた「コア·システム」の概念を日本の小住宅に取り入れ、建築の構成原理を理論化しようと試みている。これは戦前の建築家が大規模邸宅に対して取り組hでいたものとは正反対のもので、女中を廃し、主婦の家事労働の軽滅と合理化、生活全体の向上を目指した「モダンリビング」なる新しい社会通念を成立せしめようとするものであった。