既成市街地における共同建て替えの共同性と成立条件: 埼玉県富士見市鶴瀬東地区を事例に

摘要

既成市街地の居住環境整備·改善は、わが国の都市計画における古くて新しい課題である。現在も社会資本整備審議会は特に老朽·不良住宅が集中する木造密集市街地は全国に約25,000haあり、その面的な改善·整備がなお必要としている。しかし、小規模ゆえに低廉な地代·家貸を理由に建て替え等の土地利用更新は進まず、住民の高齢化と住宅の老朽化が見られる既成市街地が多い。ただし、それはその地区での強い居住維続意向を意味する。この意向に基づく整備·改善の事例には上尾市仲町愛宕地区等がある。そこでは住民による協議をふまえ、地区計画等の規制誘導手法と一体となった、「住み続ける」ための共同建て替えの実践という「まちづくり」を行ってきた。だが、「住み続ける」という理念を具体化する事業手法、「重点」地区に財政等の資源を集中投下することの是非といった計画課題から普逼化されていない。