安芸国の中世神社玉殿における一木造出の特質

摘要

安芸国に現存する三十四基の中世玉殿のなかに、複数の部材を一木から造り出す(以下、一木造出と記す)例が実地調査で多数見出された(表1参照)。それら建築技法は、一 般に礎石に直に建つ社寺建築(以下、一般的な社寺建築と言う)とは異なり、また、安芸国の中世寺院の厨子にはほとhど用いられていない。そこで、本稿では中世玉殿の一木造出について他建築と比較し、その特質を報告する。