昭和戦前期の都市型中小住宅における日照調整設計に関する研究: 朝曰住宅図案集を対象として

摘要

朝日住宅図案集所収の住宅について日照などの分析を行い、以下のお知見を得た。①軒·庇の出が短く、軒髙が高いもの、壁面が西に振られているものは日照到達距離に対して不利である。出窓，ルーバーの設置により日射の侵入を緩和する試みがみられる。②緩衝空間としてテラス，縁側を設けるものも多い。③軒·庇をしつかり出し，軒高も低く抑えた住宅は夏季にの日射遮蔽、冬季にの日照確保が最も理想的になされている。④平星で軒高を低く抑え、寄棟でどの壁面に対しても軒を出す例が多く見られる。⑤軒·庇を装飾だけでなく機能性の側からとらえられている樣子がうかがえる。⑥夏季、日射遮蔽が過剩になり冬季の日照確保を妨げる場合ある。