白杖を介して床から得られる情報に関する基礎的研究凹凸，かたさ，すべりを対象とした検討

摘要

視覚障害者にとって、白杖を介して得られる様々な刺激は、歩行などの移動動作中における非常に有用な情報の一つである。特に、白杖を床や路面（以下「床」と記す）に接触させた時に手に伝わる微妙な感覚や発生音は、視覚障害者が移動中に絶えず得ることができる貴重な情報源である。しかし、視覚障害者の歩行に関する既往の研究の多くは、視覚障害者の観察による行動の分析や空間形状の認知に関するものであり、凹凸，かたさ，すべり，発音性などの床の特性と、その床に白杖を接触させた時に得られる触覚，聴覚刺激との関係に関する検討は十分とはいい難い。