アンコール期大型寺院における列柱回廊の計画方法の分析/ カンボジア　コンポン?スヴァイのプレア?カーン寺院に関する研究(3)

摘要

各遺構の分析より、遺構内で柱間寸法に変動がある 箇所に傾向をみることができた。内、外向き回廊を通 じて前方に入口を有する柱間寸法が大きくなる傾向に あり、列柱廊の柱間構成の中で特別な意味を持ち、柱 割りの基準部分となった可能性も考えられる。また回 廊隅部は柱間寸法が小さくなる傾向にあり、一定の寸 法値で割り付けた寸法誤差を多少の範囲内で吸収する 役目があった可能性がある。他の柱間間隔は遺構によっ て多少近似し、明快な完数制は見えないまでも一定の 規格を設けた可能性がある。各回廊の間数は基本的に 正対する部分で一致させることを目指したと考えられ る。奇数間への志向は多くの遺構でみられ、理由とし て奇数の優位性があった可能性や回廊レリーフに中心 性を持たせる視覚的効果などが考えられるが、明確な 理由は不明瞭である。