歩行習慣を維持する生活圏の空間構造に関する研究:積極的に歩いている人の実態調査に基づく分析

摘要

現代は、交通網の発達などの都市の利便性やライフス タイルの変化で、歩行の機会が少なくなっている。日常 生活での身体活動量は減少し、それに伴う消費エネルギ ーの減少は、生活習慣病、特に循環器疾患（心疾患?脳 血管疾患）を引き起こす要因ともなる。我国では、死亡 総数に占める循環器疾患の割合は3/4 を占め、寝たきりや 活動の制限など生活の質の悪化をも招き、大きな健康課 題である。歩行は体力と筋力の維持にも有効であり、国 は現在までの知見から、適切な歩数として約1 万歩/日を 目標値に設定（健康日本21）したものの、個人の努力に では目標値は到達できず、生活圏内の公的な環境整備が 必要といわれている。しかし、歩行を維持?促進するた めの空間構造は明らかにされており、適切な整備を行う ことは困難である。