スモールパンチ試験による改良9Cr-lMo鋼配管母材のクリープ特性評価

摘要

超々臨界圧発電プラントでは高温強度と耐食性に優れた高Crフェライト系耐熱銷が多用されており，本鋼種の 溶接継手における不具合が世界的に大きな問題となって いる.これは熱影響部でボイドや微小き裂が優先的に発 生し早期に破断する現象であり，この損傷は母材そのも ののクリープ強度と密接に関係している.つまり，母材 の強度が十分でなければ，溶接継手の強度も低くクリー プ破断寿命も短い.Fig.1に示すように，A, Bの異なるプ ラントのボイラ配管で長時間使用されたGr.91鋼のクリ一 プ破断試験結果を比較すると，母材および溶接継手ともB プラント材の寿命はAプラント材ょりも短く ，母材では約 1/10,溶接継手では1/5倍程度である.この結果は，対象 とする配管母材固有のクリープ特性を個別に評価し，強 度のばらつき（ヒート間差）を把握した上で余寿命評価 を行う必要があることを示唆している.