改良スモールパンチ試験法による12%Cr耐熱鋼溶接継手のクリープ特性評価

摘要

火力発電プラントなどの高温配管では，蒸気条件の高温高圧化が進む中，高温強度や耐食性に優れた高Crフェライト系耐熱鋼が用いられている．本鋼種では，溶接の際の入熱により，溶接熱影響部（HAZ：Heat Affected Zone）に低強度の細粒組織（FGHAZ：Fine-Grained HAZ）が形成される．近年，この組織弱化したHAZ細粒域にて生じる損傷および破壊（Type-IV損傷）が世界的に重要な問題となっており，そのメカニズム解明と抑制のための多くの研究が行われている．本研究では，この改良SPクリープ試験を火SUS410J3 鋼溶接継手の大型単軸クリープ試験材（中断材）に適用し，寿命消費に伴う溶接継手部のクリープ特性の変化を調べるとともに，肉厚方向での損傷状態の分布を調査した．併せて，線形損傷則を用いた溶接継手部の余寿命評価の可能性についても検討した．