酸素プラズマ中の微量窒素酸化物による芽胞菌の不活化作用

摘要

近年，低温滅菌方法においてプラズマを利用する手法が提案され研究開発が進んでいる．従来の，高圧蒸気滅菌は安全低コストであるが高温・高圧条件であり，酸化エチレンガス滅菌は処理時間が長い上，毒性や爆発性がある．過酸化水素ガスプラズマ滅菌は装置が高額で高濃度の過酸化水素液を利用する必要があり，放射線滅菌は大型装置が必要などの問題点を有している．大気圧低温プラズマは低温で活性酸素や活性窒素の生成が可能であり，滅菌や治療器具への応用が期待されている(．プラズマによる滅菌機構は，主にオゾンや OH ラジカル，酸素原子ラジカル，スーパーオキシドアニオンなど以外に一酸化窒素や二酸化窒素による酸化作用であることが報告されている．しかしながら，活性酸素が滅菌を担う場合において，混在している微量の窒素酸化物がどのような影響を与えるのかは，十分に解明されていない．そこで本研究では，高純度酸素ガスプラズマを利用し，芽胞菌に対して活性酸素種が与える影響と窒素酸化物の影響を，窒素ガスの混合割合を微量に変化させることで検証することを目的とする．