前胸部ストレッチを模擬した刺激に対する正常およびケロイド線維芽細胞の刺激感受性の違い

摘要

人間の皮膚の中に存在する線維芽細胞は，皮膚が傷を負った際にコラーゲンを産生して傷の修復を助ける機能を持つ．この創傷治癒過程でコラーゲン産生のコントロールができず創傷部が腫れ上がってゆくことがある．これを肥厚性瘢痕やケロイドと呼ぶ．厳密に区分すると，コラーゲンの異常産生によって一時的に創傷部が膨れ上がるものの時間がたてばコラーゲンの産生が落ち着き，腫れが引くものを肥厚性瘢痕と呼び，際限なくコラーゲン産生が行われ続け赤みを帯びた腫れが元々の創傷部位を超え正常皮膚にまで広がっていくものをケロイドと呼ぶ(図 1)．ケロイドは悪性腫瘍ではないが自然治癒することはなく痛みや痒みを伴い，治療に難渋することも多い．