フランク・ロイド・ライトによる螺旋空間の研究:ソロモン・R・グッゲンハイム美術館をとおして

摘要

建築家フランク・ロイド・ライト（1867-1959）によるソロモン・R・グッゲンハイム美術館（1959）は、彼の第三期黄金時代の作品に位置づけられる。この美術館の展示室の特徴である「螺旋空間」は当時としては新しい展示方法のあり方を示していた。一方で「螺旋空間」という、実験的な試みは、賛否を真っ二つに分けることとなり世界中で議論を醸すこととなった。　本研究ではその当時の意見として評論家ルイス・マンフォード（1895-1990）による「都市と人間」の中の「ライトがなせしこと」で述べられている批判文章を取り上げる。それを要約すると次の3 つの観点から批判している。①（規模）特別な展示の要求には応じられない大きさ。②（機能性）美術館の機能として失敗である。③（斜路）芸術作品を見るための斜路は過ちである。　これらを分析し検証することが目的となる。