ル・コルビュジエとヴェルナー・ヘーゲマンの接点について

摘要

ヘーゲマンは、ヨーロッパとアメリカを何度も横断し、モダニズム運動と一定の距離を置きつつ、両大陸の文化、情報、人脈を交流させる役割を果たした。モダニズムを正統派とする歴史の中で見落とされてきたその活動の意義は、さらなる検討が加えられるべきである。ヘーゲマンは特にベルリン都市計画展を通して後のル・コルビュジエに深い影響を与えたが、二人の接点を通して「都市計画」という概念の、時代と場所そして解釈による変容が読み取れることを指摘しておきたい。本稿では『都市の建設』の複数の段階と、そこに影響を及ぼした考え方やキーワードとの関係を示すことにより、ル・コルビュジエの都市計画思想の変遷の一端を明らかにした。