児童の行動分析からみた通学路環境と児童の安全意識の関係

摘要

今回の調査では，安全の管理を行っている学校側が，危険だと判断しているような交通量の多い交差点や，信号機のない交差点では，児童の安全への意識は比較的高いといえる結果が得られた。これに対して，比較的に安全であると考えられる交通量の少ない箇所や，友人が一緒であると，要素同士が組み合わさり，あそび行動が誘発され，安全への意識は低くなるという結果が得られた。このような安全への意識の低い場所は，潜在的な危険を生み出すことになる。対策としては，あそび行動を誘発する要素を減らすのではなく，装置的要素のようなあそび行動を誘発し，動かしづらい要素を道路の隅や，見通しのいい場所といった，危険の少ない場所に配置することで，児童を誘導しつつ，あそびを誘発する空間としての特性を保つことができると考えられる。今後，調査を進め，通学路での潜在的な危険を明らかにし，より質の高い安全教育・対策を行うことが期待できる。