現代建築に見る抽象化と具象化:模型優位型設計プロセスについての考察

摘要

対象の建築において以下の特徴がみられた。・コンセプトダイヤグラムが異なるために配置の仕方に差異はあるが、空間が面によって構成される。・面は連続した( 凹凸の少ない) 直線ないし曲線上にある。・壁面と開口部側面は同じ素材または色で統一され、壁は厚みのある同一のエレメントとして認識される。・開口の形状または配置の自由度が高い。　これらのことは、白い面材とそこに開けられた開口で構成される模型で空間が思考されたため、模型の特性がそのまま最終的な建築の特徴として現れたためだと考えられる。模型優位型設計プロセスは建築の形態に影響し、さらには模型で表現された空間が抽象化の理想となり、それを実際の建築において表現する傾向があるといえる。