高い電荷注入能力と低インピーダンス特性を持つPEDOT/Pt blackマイクロプローブ電極デバイスの神経刺激応用

摘要

脳計測に用いられる刺入型の微小電極は、電気的な細胞の計測だけでなく局所空間における細胞の刺激を可能とする刺激応用も期待される。組織や細胞の損傷低減のためには、組織に刺入する電極の更なる微細化が求められている。しかし、電極の微細化に伴い、電気的インピーダンスの増加、電荷注入能力の低下により効率的な細胞刺激が困難となる。そのため、電極の微細化においても、低インピーダンス特性、十分な電荷注入能力を可能とする電極材料が必要となる[1]。Poly（3,4-ethylenedioxythiophene）（PEDOT）は優れた導電性を持つ高分子材料であり、高い電荷注入特性や生体適合性の観点から注目されている。また、Pt black（白金黒）はナノ多孔質構造を持ち立体的に実効表面積を増やすことができる。本研究では、直径5 µm（長さ400 µm）のプローブ電極を用いて、その先端にPt black、その上にPEDOTを成膜したPEDOT/Pt blackを提案し、目的とする局所空間での細胞刺激に有効な神経電極の製作・評価を行った。